「花神 」(司馬遼太郎)
目次
概要
1972年発行、
「花神 」(司馬遼太郎)。
*文庫は上・中・下(全3巻)。
『花神〔上〕』 司馬遼太郎 | 新潮社 (shinchosha.co.jp)
主人公は大村益次郎(村田蔵六)。
*本文ではほぼ村田蔵六。
*地元では良庵とも
物語は、
蔵六が医学を学び始めたころ(16-17歳)から、
刺客に襲われそれがもとで亡くなるまで。
蔵六は百姓医から始まり、
最期は官軍の軍事統率者であった。
そこに至る紆余曲折が描かれる。
彼は徹頭徹尾、技術者であった。
医者としても、軍においても。
著者によると、
革命期に登場する技術がどういう意味があるか、
それが主題のようなものとのこと。
江戸で彰義隊との戦いにおいて、
火事の計算や軍事金がなかったことなど、
この小説で知りえたこともある。
タイトル「花神」
中国では、花神とは花咲爺のこと。
本文では、
「蔵六は花神のしごとを背負った。」とある。
蔵六は技術者として革命の仕上げ段階の人。
その象徴として花神という表現を使ったのだろう。
しかし、
彼も刺客に狙われ、それがもとで命を落とした。
そのため、仕上げを見ることはなかった。
のちに西南戦争が起こったが、
彼によって準備は整っていた。
さすがとしか言いようがない。
大村益次郎
花神では
医者、軍それぞれの技術者として徹底している。
政治家ではない。
ある意味、面白味のない人物である。
しかし、出てくる人物との対比で読むと、
技術者の本質がより浮き出てきた面白くなる。
女性関係では、地元には妻がいたが、
シーボルトの娘・イネとの関係も盛り込まれる。
革命期
著者による革命の3段階。
思想家・・・非業の死をとげる
例・・吉田松陰
戦略家・・天寿を全うしない
例・・高杉晋作、佐合隆盛など。
技術者・・軌道にのせていく
例・・大村益次郎
*大村は自信は道半ばで刺客に襲われた
参考
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