「空海の風景(上・下)」(司馬遼太郎)
目次
概要
1975年発行、
「空海の風景 (上・下)」(司馬遼太郎)。
初出は中央公論の連載。
当時のタイトルは、『「空海」の風景』。
上・下2巻で、空海の生涯を描く。
空海は宗教界で特筆すべき人である。
ただし、1000年以上前の人ゆえ、
分からないことも多々あるよう。
そういうことも踏まえて著者は記す。
司馬氏の歴史小説は、主人公が生き生きと描かれる。
読んでいると、今でも目の前に出てきそうである。
しかし、
この小説はちょっと雰囲気が違う。
空海がいた世界を、
「空海の風景」というとおり、俯瞰してる感じである。
あとがきにあるが、
「見たようにして書くことはできそうもない」と言う。
「筆者自身の期待を綴って行くその経過を書き記しただけ」
とも言う。
ともかく、
本書は空海の魅力がしっかり伝わっていると思う。
同時代には顕教の最澄もいる。
最澄と空海は、
生き様がかなり対照的に描かれている。
結果として、
この小説では、最澄が空海の引き立て役となっている
空海
空海とは・・・。
弘法大師 空海の生涯と教えと即身成仏について (true-buddhism.com)
弘法大師空海とは – 大本山 弘法寺 (koboji.jp)
弘法大師空海|東寺 – 世界遺産 真言宗総本山 教王護国寺 (toji.or.jp)
言わずと知れた弘法大師、
日本に真言密教をもたらし、日本の真言宗開祖。
唐に渡って短い期間に密教の伝授を受け習得、
恵果のあとを継ぎ、真言八祖となる。
読んでいて感じるのは、
知識の吸収において、天才なんだろうということ。
それは宗教だけでなく、言語や書についても。
それだけではなく、
世間を冷静に見つめていた節もある。
人生のそれぞれの転機において、
空白の時期がある。
修行の時期、唐に渡った時期、日本に戻った時期など。
充電期間といえば、それまでだが、
間違いのない次のステップへの準備をしていたのだろう。
また運も味方したこともあると思う。
特に遣唐使船はそうだ。
往路も帰路も。
唐や日本で、
政の世界ともうまくかかわったようである。
宗教界のスパースターである。
参考
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