「歳月」(司馬遼太郎)
目次
概要
1969年発行、
「歳月」(司馬遼太郎)。
司馬作品の中では
知名度はやや下がるかもしれない。
江藤新平の生涯を描いた作品。
物語は、
江藤の脱藩のころ(20代後半)から刑死するまで。
江藤は維新後、司法卿にまでなるが、
征韓論で下野。
佐賀の乱ののち刑死する。
中盤からは、征韓論、佐賀の乱に焦点を当て、
話が進んでいく。
そして、大久保との間接的な対決の様相となる。
佐賀の乱では
執拗に江藤を追い詰めたのは大久保として描いている。
ただしこれは私怨によるものではなく、
あくまで国づくりを考えた大きな視野であったよう。
タイトル「歳月」
この小説はなぜ「歳月」なのだろうか?
読みながら、ずっと考えていた。
しかし、はっきりとした結論は出なかった。
とある記事では下記のような説明があった。
「 江藤を主人公にした小説のタイトルを
「歳月」としたのは、
ここまでの彼の苦節の人生を指しているのではないかと
感じます。」
佐賀 「乱」ではなく「佐賀戦争」 江藤新平の功績に光を | NHK
なるほどとなと思った。
著者が意図を説明したものはないのだろうか。
江藤新平
江藤新平はかつて脱藩し、
長く永蟄居(無期謹慎)となっていた。
実際に活躍しだすのは、大政奉還のころから。
すでに34歳となっていた。
幕末を経て、太政官政府では司法卿となる。
政府の中で、征韓論側になっていたため、
論争ののち下野した。
さらに佐賀の乱では、
指導者となるが、すぐに敗れて、刑死する。
参考