「小笠原学ことはじめ」(ダニエル・ロング編著)
目次
概要
2002年発行、
「小笠原学ことはじめ」(ダニエル・ロング編著)。
南方新社小笠原シリーズ1となる本である。
本書はダニエル・ロング氏が編著者であるが、
章ごとに執筆者は異なる。
小笠原に関連するジャンルで、
民族・文化、文学、方言、地名、音楽2章、
社会、政治、言語など。
それぞれの執筆は、
ほとんどの方がそのジャンルの大学研究者。
過去の歴史を踏まえて、現状が考察されている。
章ごとに独立しているので、
興味のあるところから読み始められる。
2024年時点、発行から20年以上経つが、
小笠原ことはじめというタイトル通りで、
人文系のことはじめとしてはいいだろう。
目次
第1章 民族・文化・・春日 匠
―語られざる語られざる歴史の島、小笠原の帰属と住民
第2章 文学・文化・・三鬼 晴子
―小笠原、旅と博覧会からみた風景
第3章 方言・・阿部 新
―小笠原諸島に方言はないのか
第4章 地名・・延島 冬生
―小笠原諸島・父島列島・兄島の地名
第5章 音楽・・北国 ゆう
―小笠原諸島の民謡の受容と変容 そのことはじめ
第6章 音楽・・小西 潤子
―歌や芸能の越境とアイデンティティの創造
「小笠原の民謡」のアレンジをめぐって
第7章 社会・・石原 俊
―海賊から帝国へ
小笠原諸島における占領経験の歴史社会学・序説
第8章 政治・外交・・ロバート・D・エルドリッヂ
―小笠原と日米関係、1945―1968年
第9章 言語・・ダニエル・ロング
―小笠原における言語接触小史
島の気風:生活者としての実感
僕がこの島に移住したのは1992年。
もう30年以上経っている。(2024年時点)
移住したころは、
昔を知っている在来島民や旧島民も普通にいた。
それでも、気風はかなり都会的には感じた。
移住者には移住しやすい感があった。
米軍占領の20数年があり、
在来島民以外はみな返還後に戻ってきた。
そういうこともあり、
島の古いしきたり、しがらみなどがほぼなかった。
本書発行からすでに20年を過ぎている。
20年というと一世代分ぐらいある。
在来島民、旧島民も、
返還後世代にうつりかわりつつある。
そうなると、
新島民とそれほど大きな違いがなくなっている。
返還後の移住者の多いこの島では、
気風はより都会化してるように思う。
伝統文化は保存会のような形で残さないと、
どんどんすたれていく心配がある。
参考図書:小笠原
参考図書:著者
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