夜明・湾岸道路での自生植物(18)タコノキ
目次
はじめに
夜明・湾岸道路一周で見られる自生植物は
90種類ほどあります。
奥村・旭橋から時計回りで、
主には見られた順に紹介していきます。
(18)タコノキ(タコノキ科・固有種)
タコノキは固有種で、各島に分布します。
雌雄異株です。
小笠原ではごく普通に見られ、なじみの深い樹木で、
村の木にも指定されています。
支柱根、トゲのある葉、大きな集合果などが
特徴的です。
常緑で、
生えている場所で、低木から高木まで見られます。
高木林内では数は少なめです。
小笠原での分布は
各列島の主要な島ほぼ全域です。
このルート沿いでは、各所に見られます。
夜明道路沿いは、昭和50年代後半(1980年代前半)、
街路樹として植栽されています。
以前、その頃の担当者だった方に話しを聞きました。
<夜明道路 タコノキ並木に>
<同上 別な場所>
小笠原で自生のタコノキ科植物は
本種とツルアダンの2種です。
ツルアダンは広域分布種です。
和名・島名
和名は「蛸の木」と書きます。
支柱根がたこ足のようだからでしょう。
「林投樹」というのもありますが、
これは中国語からでしょうか?
現在、特に島名はありません。
かつて使われた言葉としては、
「ルーワラ」や「カチャン」があります。
「ルーワラ」はハワイ語が語源のようです。
「カチャン」は
1675年に島谷が探検したころすでに使われていて、
インドネシア語起原のようです。
支柱根
名前の由来でもあり、
タコノキを特徴づけている1つが、
気根の一種であるこの支柱根です。
支柱根は普通、幹の下方で主に出ますが、
高木になると、上の方から出ることもあります。
タコノキキは単子葉植物なので、
幹が肥大成長できません。
樹高がのびてくると、
幹の補助として支柱根が出てきます。
樹形
様々な環境に対応して生えていて、
低木状から高木状まで見られます。
道沿いのものはまっすぐのびて高木状に。
岩場では這いつくばるようは低木状です。
幹
幹や枝には大きめのトゲがポツポツと出ています。
幹断面写真です。ヘチマの繊維のようですね。
タコノキは単子葉植物で、
基本的に、二次肥大成長はありません。
簡単に言うと、
幹が太っていかないということです。
そういう植物は
維管束が不規則に散らばっています。
断面をよく見ると、
樹皮に近いところは繊維が密になっています。
強度を上げる役割があるのでしょうか。
幹の断面は、均一のように見えます。
単子葉植物ゆえ、
形成層がないので、維管束がばらけているからですね。
花
花期は6-7月頃。
雌雄異株なので、
花は雌雄で明確に違います。
雄株の花
雄花は穂状花序におしべだけが多数つきます。
花弁やめしべはありません。
花序を包んでいる総苞は、
トウモロコシの皮のような色合いです。
果実が少し膨らんだ状態
雌花は花軸のさきに集合花で、
果実の小さなものがはじめからついています。
果実
果実はもちろん雌株だけです。
集合果は人頭大ぐらいです。
熟れる前までは緑色です。
熟れてくると赤くなります。
そうなると、1つずつがばらけて地上に落ちます。
葉
葉は付け根かららせん状に出ています。
とげに少し角度があり、
付け根から先に向かう方向ではあまり引っかかりません。
利用
果実は種の部分が食用に、
葉は細工物として、利用されました。
これは長女が6年生の時、総合で作ったものです。
20cm角のマットです。
かつては種の部分を取り出し、
つぶして味噌と混ぜて食べたようです。
オガサワラオオコウモリは外の果肉の部分をかじっています。
ペリットが落ちているので、すぐ分かります。
近縁種・アダンとの違い
タコノキの近縁種は
南西諸島などに自生するアダンです。
父島には、
アダンが持ち込まれているかどうかは分かりません。
外来種のビヨウタコノキは集落内で植栽があります。
見るには
島中に生えているので、おおむねどこでも紹介できます。
まちなかにもあちこちあります。
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