小笠原マルベリー

夜明・湾岸道路での自生植物(23)キンショクダモ


 

 

はじめに

 

夜明・湾岸道路一周で見られる自生植物は

90種類ほどあります。

1種類ずつ順に紹介していきます。

 

 

 

 

(23)キンショクダモ(クスノキ科・広域分布種)

 

キンショクダモは雌雄異株の中高木です。

やや南方系の広域分布種で、

国内では

九州や南西諸島などでも自生するようです。

 

固有種のムニンシロダモとは近縁で、

両者は中間的なものも多く、区別が難しいです。

 

キンショクダモは父島列島の各島で見られます。

(ムニンシロダモは母島でも見られます)

 

父島では

中央部山地の林縁などで点在して見られます。

このルート沿いでは

旭平から中央山付近で見られます。

 

 

 

 

 

和名

 

キンショクダモは「金色櫤」と書きます。

(櫤は木偏に佛です)

 

葉の裏が金色(キンショク)で

タモ(ヤチダモ)に似ているということでしょう。

 

でも本種はクスノキ科です。ヤチダモはモクセイ科です。

 

 

 

 

 

 

 

葉の様子

 

葉の裏が黄金色です。

 

新葉は冬場早くから出始まります。

柔らかな薄黄緑の明るい色で、遠目で見ると、花のようです。

 

新芽が広がってきたころ

 

 

 

 

 

花期は11-12月頃。

小花を多くつけ、近づくとさわやかな芳香もあります。

 

雌雄異株ですので、花も雌雄で違いがあります。

花被片4、腺体4は共通です。

(腺体とは蜜を分泌する器官)

 

雌花

 

雌花拡大

 

雌株(雌花)、めしべ1だけが目立ちます。

仮おしべ6もあります。

 

 

雄花

 

雄株(雄花)、おしべ6が目立ちます。

退化しためしべ1もあります。

 

 

 

 

 

 

ツアーでは

 

個体数はそれなりにありますが、あまり目立ちません。

旭平から中央山にかけてのエリアで見られますので、

森歩きで紹介できます。

 

 

この記事を書いた人

吉井 信秋

大阪市旭区生まれ。 茨城県立水戸一高で硬式野球部所属。 北海道大学農学部林産学科(現・森林科学科)卒業。 某企業に就職、栃木県鹿沼市の研究所に配属される。 数年後、異動により東京勤務。さらに数年後、依願退職。 その後、小笠原・父島に移住。 島でいくつかの仕事を経験後、2000年独立開業。 小笠原で山歩き、森歩き、戦跡などの陸域専門ガイドを勤める。

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