夜明・湾岸道路での自生植物(36)シロトベラ
目次
はじめに
夜明・湾岸道路一周で見られる自生植物は
90種類ほどあります。
奥村・旭橋から時計回りで、
主には見られた順に紹介していきます。
(36)シロトベラ(トベラ科・固有種)
小高木で、雌雄異株のシロトベラ。
4-5月頃が花期です。
花期にはさっぱりとした芳香が漂います。
和名の由来の通り、樹皮はかなり白っぽいです。
シロトベラの分布は
父島列島(父・兄・弟)・母島です。
父島では
明るい疎林地や林縁などでぽつぽつと生えています。
低木林にはあまりありません。
この夜明・湾岸道路ルート沿いでは、
夜明道路沿い(奧村から中央山にかけて)数本見られます。
島一周 | 小笠原マルベリー (ogasawara-mulberry.net)
和名
シロトベラは「白扉(白海桐)」と書きます。
白(シロ)は樹皮の白いところからのようです。
トベラ(扉・海桐)については、
扉は、扉にさして魔除けに使ったというところから、
海桐は漢名から来たようです(詳細不明)。
小笠原には他に
オオミトベラ(大実扉)、コバトベラ(小葉扉)、
ハハジマトベラ(母島扉)などがあります。
和名の似ているクサトベラ(クサトベラ科・広域分布種)は
科が違います。
葉はかなり大きいですが、
トベラの葉に似ているところからの由来のようです。
<クサトベラ群生地>
種分化
本種は
近縁種(トベラ)から4種に種分化しているうちの1種です。
他にはオオミトベラ、コバトベラ、ハハジマトベラです。
シロトベラは小高木で分布も広く、個体数も多いです。
オオミトベラは低木で、
父島の中央山周辺の乾性低木林内のみに分布します。
コバトベラは低木・小低木で、
父島・兄島の岩石地にわずかに分布します。
本種は種の保存法に指定されています。
ハハジマトベラは低木で、
母島列島にの低木林内に分布します。
この4種はそれぞれの異なる環境で隔離されることで
種が分かれていったものと考えられます。
父島では
ハハジマトベラ以外の3種が見られます。
その3種はかなり近い所に分布しています。
ひょっとしたら、
種分化後に、また分布が近づいたのかもしれませんね。
樹皮
個体差はありますが、和名の由来の通り、かなり白っぽい樹皮
葉
葉は枝先に輪生状に集まります。
形は全縁、卵状長楕円形、
先が尖るものと丸いものがあります。
花
花期は4-5月。
雌雄異株なので、花のつくりが雌雄で異なります。
(両性花もあるかどうかは分かりません。)
花期には花序に多数の花をつけます。
さっぱりとした芳香です。
雌雄の花とも基本の花のつくりは同じで、
花は乳白色5弁、
おしべ5、めしべ1(柱頭3裂)です。
雄花(雄株の花)は
おしべの葯がしっかりついています。
めしべもそれなりに分かります。
雌花(雌株の花)はおしべの葯が退化気味です。
めしべの子房がよりふくらんでいます。
果実
径1㎝ほどの球形の果実
ツアーでは
シロトベラは林縁などでぽつぽつと生えていて、
意外と見つけづらいです。
おもに森歩きツアーで紹介します。
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