夜明・湾岸道路での自生植物(39)オオミトベラ
目次
はじめに
夜明・湾岸道路一周で見られる自生植物は
90種類ほどあります。
奥村・旭橋から時計回りで、
主には見られた順に紹介していきます。
(39)オオミトベラ(トベラ科・固有種)
低木で、雌雄異株のオオオミトベラ。
4-5月頃が花期です。
花にはさっぱりとした芳香があります。
シロトベラに似て、樹皮はかなり白っぽいです。
オオミトベラの分布は父島のみです。
父島で中央山・東平周辺の乾性低木林中に自生します。
個体数は少なめです。
この夜明・湾岸道路ルート沿いでは、
夜明道路沿い(初寝歩道付近)に1本見られます。
<道沿いの個体>
ネットで保護されているのですぐ分かるでしょう。
島一周 | 小笠原マルベリー (ogasawara-mulberry.net)
和名
オオミトベラは「大実扉(大実桐)」と書きます。
果実がシロトベラより大きいので、
大きな実という意味で、大実(オオミ)のようです。
トベラ(扉・海桐)については、
扉は、扉にさして魔除けに使ったというところから、
海桐は漢名から来たようです(詳細不明)。
小笠原には他に
シロトベラ(白扉)、コバトベラ(小葉扉)、
ハハジマトベラ(母島扉)などがあります。
和名の似ているクサトベラ(クサトベラ科・広域分布種)は
科が違います。
葉はかなり大きいですが、
トベラの葉に似ているところからの由来のようです。
<クサトベラ群生地>
種分化
本種は
近縁種(トベラ)から4種に種分化しているうちの1種です。
他にはシロトベラ、コバトベラ、ハハジマトベラです。
シロトベラは
小高木で分布も広く、個体数も多いです。
オオミトベラは低木で、
父島の中央山周辺の乾性低木林内のみに分布します。
コバトベラは
低木・小低木で、父島・兄島の岩石地にわずかに分布します。
本種は種の保存法に指定されています。
ハハジマトベラは低木で、母島列島にの低木林内に分布します。
この4種はそれぞれの異なる環境で隔離されることで
種が分かれていったものと考えられます。
父島では
ハハジマトベラ以外の3種が見られます。
その3種はかなり近い所に分布しています。
ひょっとしたら、
種分化後に、また分布が近づいたのかもしれませんね。
樹皮・樹形
樹高1-2mで、
シロトベラの若木のように見えます
樹皮もかなり白っぽいです
花期でなければ、
シロトベラとの見分けはかなり難しいです
オオミトベラは自生地がかなり限られていますので、
その場所以外では、シロトベラでほぼ間違いありません
葉
シロトベラよりやや大きく感じますが、
葉だけで見分けは困難です
花
花期は4-5月。
雌雄異株なので、花のつくりが雌雄で異なります。
(両性花もあるかどうかは分かりません。)
シロトベラは1つの花序の先で複数の花をつけますが、
オオミトベラは1つの花序ごとに普通1つの花をつけます
さっぱりとした芳香です
雌雄の花とも基本の花のつくりは同じで、
花は乳白色5弁、おしべ5、めしべ1(柱頭3裂)
この写真は雌花で、
雌花(雌株の花)はおしべの葯が退化気味です
めしべの子房がよりふくらんでいます
雄花(雄株の花)は
おしべの葯がしっかりついています
めしべもそれなりに分かります
果実
1つの花序に1つだけ果実をつける
果実は緑の球形
オオミ(大実)の由来のとおり、
シロトベラより大きめの果実
果実は3裂する
1裂ごとに10程度の赤い種子
長径5㎜程度
種子は、粘着性のものがつきすぐには落ちない。
見るには
オオオミトベラは
乾性低木林内でわずかに生えています。
見つけるのは難しいです。
おもに森歩きツアーで紹介します。
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