「水平線」(滝口悠生)
目次
概要
’22/7月発行、
「水平線」(滝口悠生)
*滝口悠生・・たきぐちゆうしょう
滝口悠生 『水平線』 | 新潮社 (shinchosha.co.jp)
滝口氏は芥川賞受賞作家です。
本書は、500ページほどの長編です。
戦前の硫黄島の生活が
メインの舞台の1つとなった小説です。
硫黄島の戦前と、
そこに縁のある現代の人物をつなぐ物語です。
そのことが興味を引き、購入して読みました。
硫黄島とは
小笠原群島のさらに南にある島。
この島は小笠原村ですが、
住民はおらず、自衛隊の基地の島となっています。
本文
主人公は
戦前に硫黄島に住んでいた家族の子孫である兄妹2人。
物語は兄の父島行きの船から始まり、
父島からの帰路の船で終ります。
兄は初めて父島に行きます。
妹はかつて墓参で硫黄島に日帰り経験しています。
その兄弟が
メールや電話で、戦前の硫黄島の家族とつながります。
パラレルワールドの設定はよくありますが、
これもそのタイプです。
硫黄島の戦前と、
そこに縁のある現代の人物をつなぐ物語となっています。
本文の最後では
硫黄島の戦前と今が交互に表現されてもいます。
硫黄島における、
時空を超えたつながりを意図しているのでしょうか?
物語の結末はあるようなないような‥
どう解釈したらいいのか、よくわかりませんでした。
(僕の理解が足りないのか?)
本書をすすめますか?と聞かれたら、
小笠原の人や小笠原に興味のある人にはすすめます。
しかし、一般の人には??、でした。
(作者さんごめんなさい)
読みやすさ
登場人物や時代背景が、
唐突に頻繁に変わり、話が進みます。
そのわかりにくさが、
読みにくく感じるかもしれません。
登場人物がひととおり出て慣れるまでは、
特にそう感じるかと思います。
慣れてくるまでは、
少し我慢して、読み続けましょう
何せ長いですから。
タイトル
「水平線」は
文章の中で何度も出てきます。
硫黄島から強制疎開で内地に引揚げ、
のちの開業した民宿名。
島から見える海の水平線。
あるいは比喩的に
現在と過去を隔てるものなのかもしれません。
作者の意図は?
硫黄島
硫黄島の生活の部分は頻繁にでてきます。
そこは
かなりノンフィクション的かと思いました。
そのため、
戦前の硫黄島の暮らしがよく理解できます。
父島の地勢に関しても、同様です。
父島の店や宿は著書により設定。
本文の最後で
硫黄島の戦前と今が交互に表現されてもいます。
参考
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