小笠原マルベリー

夜明・湾岸道路での自生植物(83)オオトキワイヌビワ


 

 

はじめに

 

夜明・湾岸道路一周で見られる自生植物は

90種類ほどある。

1種類ずつ、

特徴や見られる場所を紹介していく。

 

島一周 | 小笠原マルベリー (ogasawara-mulberry.net)

 

 

 

 

 

(83)オオトキワイヌビワ(クワ科・固有種)

 

 

雌雄異株、常緑低木性、

オオトキワイヌビワ(クワ科・固有種)。

 

常緑低木性で分枝が少ないので、

貧弱な樹木に見える。

 

本種はイチジク属で、

花弁のある花らしいものはつけず、無花果である。

 

雌雄異株なので、

果実(花嚢・果嚢)があるのは雌株となる。

(果嚢・・熟れた状態)

 

花期は6‐7月ごろ。

壺状楕円形の緑の花嚢をつける。

のちに熟れて果嚢となる。

 

葉は一般には

トキワイヌビワより大きいとされる。

しかし、同じぐらいの小さいものもある。

 

夜明・湾岸道路での自生植物(84)トキワイヌビワ

 

本種の分布は

父島、弟島、母島、火山列島など。

 

父島では

中央部の林内でたまに見かける。

 

このルート沿いでは

夜明道路沿い(初寝歩道付近)などにわずかに見られる。

 

種分化の項で紹介するが、

近縁種にはトキワイヌビワ、オオヤマイチジクがある。

 

本種とトキワイヌビワは

父島に自生し、とてもよく似ている。

樹形、托葉、果実の形で見分けができる。

(後述する)

葉のサイズはかなり幅があるので、

一概には何とも言えない

分布は同所的に生える場所もあるが、

オオトキワイヌビワがより林内型である。

オオヤマイチジクは母島のみ自生。

 

 

 

 

 

 

 

種分化

 

種分化の事例として、

本種も含めた3種が紹介されている。

トキワイヌビワ、オオトキワイヌビワ、オオヤマイチジク。

 

untitled (ogasawara-info.jp)

untitled (ogasawara-info.jp)

 

父島では

トキワイヌビワとオオトキワイヌビワが見られる。

オオヤマイチジクは母島に分布、父島にはない。

 

近年の調査研究報告によると、

さらにもう1種の存在も示唆されている。

報告書ではオオトキワと仮称。

学位論文要旨詳細 (u-tokyo.ac.jp)

 

*参考資料

 

216193a.pdf (u-tokyo.ac.jp)

 

学位論文要旨詳細 (u-tokyo.ac.jp)

 

25650129 研究成果報告書 (nii.ac.jp)

 

DNAから進化を探る |

3-1.昆虫と植物との共生関係、共進化および種分化に関する研究 | 

 

DNAから進化を探る 分子系統から生物進化を探る 

3-1.イチジク属植物とイチジクコバチの共生関係と共進化 

 

 

 

 

 

 

和名

 

オオトキワイヌビワは

「大常盤犬枇杷」と書く。

 

大きな(葉)のトキワイヌビワの意味。

 

トキワイヌビワは

常緑のイヌビワの意味。

 

イヌビワは

ビワに似た果実が食用になる。

しかし、

味がビワより劣るためイヌがつく。

イヌビワ – Wikipedia

 

植物名ではイヌがつくのはよくある。

(本家より劣るという意味合い)

小笠原では、

ムニンイヌツゲ、ムニンイヌグスなど。

 

 

 

 

 

 

生えている様子

 

 

道路沿いで生えている様子

分枝が少なく、貧弱な樹木に見える

 

 

葉はトキワイヌビワよりやや大きめだが、

個体差で小さいものもある

葉のつきかたは互生

 

托葉はほぼ見られない

(ないわけではなく、早落性とのこと)

 

果実(花嚢)は壺状楕円形

のち熟れて果嚢となる

 

 

 

 

2種の見分け

 

 

オオトキワイヌビワとトキワイヌビワはよく似ている。

見分け方のポイントを紹介する

 

 

  オオトキワイヌビワ トキワイヌビワ
樹形 分枝が少ないあるいは単枝 株立ち状
樹高 せいぜい2-3m 2-3m以上もある
托葉 ほぼ分からない ある、目立つ
果実

壷型楕円形・

トキワよりやや大きい

球形・

オオトキワより小ぶり

     

 

 

 

 

 

 

見るには?

 

父島の山地で見られる。

低木性で目立たない樹種である。

 

目立たない樹種なので、

ツアーで紹介することはかなり少ない。

 

興味のある方はリクエストいただきたい。

森歩きで紹介はできる。

 

森歩き

 

 

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    この記事を書いた人

    吉井 信秋

    大阪市旭区生まれ。 茨城県立水戸一高で硬式野球部所属。 北海道大学農学部林産学科(現・森林科学科)卒業。 某企業に就職、栃木県鹿沼市の研究所に配属される。 数年後、異動により東京勤務。さらに数年後、依願退職。 その後、小笠原・父島に移住。 島でいくつかの仕事を経験後、2000年独立開業。 小笠原で山歩き、森歩き、戦跡などの陸域専門ガイドを勤める。

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