小笠原マルベリー

夜明・湾岸道路一周での自生植物(89)ムニンイヌツゲ


 

 

はじめに

 

夜明・湾岸道路一周で見られる自生植物は

90種類ほどある。

1種類ずつ、

特徴や見られる場所を紹介していく。

島一周 | 小笠原マルベリー (ogasawara-mulberry.net)

 

 

 

 

 

概要

 

牧野富太郎氏が命名した固有植物の1つ、

ムニンイヌツゲ(モチノキ科・固有種)。

 

後述するが、

ツゲとイヌツゲでは科が違う。

 

雌雄異株、小高木で、

おもに乾性低木林に自生する。

分布は狭いが、個体数はそれなりにある。

 

しかし、

最近は開花個体が少ないように感じている。

そのため、果実もなかなか見ない。

 

小笠原で自生する広葉樹では

葉の大きさが最小に近いのではないだろうか。

 

小笠原での分布は

父島、兄島、母島で、おもに乾性低木林内。

 

父島では

東平・初寝線周辺、夜明平などで自生する。

このルート沿いでは、夜明平付近で1本確認した。

ただし、分かりにくい。

 

小笠原でモチノキ科自生種は

本種、シマモチ、ムニンモチの3種。

いずれも固有種。

 

本種とシマモチやムニンモチとは

葉の大きさが明らかに違う。

 

 

 

 

 

和名

 

 

ムニンイヌツゲは「無人犬柘植(黄楊)」と書く。

 

小笠原に産するイヌツゲのこと。

固有種である。

イヌツゲ – Wikipedia

 

イヌツゲは、ツゲに似ているが

性能(材)がやや劣るためイヌがつく。

ツゲ – Wikipedia

 

ツゲはツゲ科、イヌツゲはモチノキ科。

 

イヌがつくものは、

本家より落ちるという意味に使われます。

かわいそうなイヌ。

 

 

 

 

 

生えている様子

 

 

夜明平付近の個体

指定ルート入口から50ⅿほどの場所

かなりわかりにくい

 

同上  ムニンイヌツゲの部分拡大

 

樹高4mほどの個体

東平のルート沿いで見られる

 

葉はかなり小さい

自生の広葉樹では最も小さいと思われる

 

色の薄いのは新葉で、

出はじめに赤味を帯びる

 

 

葉のつきかたは互生

 

 

葉の縁は鈍鋸歯

 

雄株の花(雄花)

 

花は白4弁、おしべ4、めしべ1

めしべのふくらみがない

 

雌株の花(雌花)

 

花は白4弁、おしべ4、めしべ1

めしべのふくらみが大きい

 

 

雌株は花期ののち小さな果実(直径5㎜程)つける

果実は黒熟する

 

 

 

 

 

見るには

 

東平などの乾性低木林で自生する。

個体数はそれなりにあるが、

ルート沿いでは少なめ。

 

東平&初寝山(森歩き)

 

夜明平でも

村民の森ルート沿いにわずかに見られる。

 

夜明平(村民の森・ムスタング・ノボタン)ルート紹介

 

東平も夜明平も入林パスが必要。

森歩きのガイドツアーで。

 

森歩き

 

 

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    この記事を書いた人

    吉井 信秋

    大阪市旭区生まれ。 茨城県立水戸一高で硬式野球部所属。 北海道大学農学部林産学科(現・森林科学科)卒業。 某企業に就職、栃木県鹿沼市の研究所に配属される。 数年後、異動により東京勤務。さらに数年後、依願退職。 その後、小笠原・父島に移住。 島でいくつかの仕事を経験後、2000年独立開業。 小笠原で山歩き、森歩き、戦跡などの陸域専門ガイドを勤める。

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