小笠原マルベリー

南島植物相の印象(’24/1月)


 

概要

 

’24/1月、南島を作業で訪れた。

 

最近は南島に行く機会はかなり減って、

年に2-3回程度。

 

間隔があいたほうが、

以前との変化を感じることもある。

 

私見ではあるが、

今回感じた植物相の変化について述べる。

 

以前の同様記事も参考に。

 

南島の植物(外周部)についての雑感(’22/12月時点)

 

 

 

 

 

南島の状況

 

近年、

南島は大部分が低木性・草本の植物で覆われている。

 

ヤギ駆除以降、50年ぐらい経って、

かなり植物相が戻ったのは事実。

 

中でも、

尾根上やその周辺斜面はかなりクサトベラが目立つ。

正確な比率は把握していないが、

クサトベラの被覆率はかなり高い。

 

夜明・湾岸道路一周での自生植物(46)クサトベラ

 

外来種の除去は

小笠原支庁の事業として受託事業者が実施している。

 

それでも、

近年はジュズサンゴがかなり広がる。

 

南島で爆発的に広がる外来種・ジュズサンゴ

 

また広域分布種ではあるが、

シロツブがかなり広がっている。

これは

鳥の繁殖や作業・調査の通行の妨げになる。

 

南島で分布を広げる広域分布種・シロツブ

 

 

 

 

感じた変化と対策について

 

 

1.ジュズサンゴがさらに勢力拡大

 

 

ジュズサンゴがさらに勢力拡大し、

尾根上から外周部にまで広がっている。

 

また境界のクサトベラを圧迫し、

さらに勢力拡大中。

以前、クサトベラだったところが、

ジュズサンゴに置き換わっている。

 

クサトベラとの境界部分のジュズサンゴを

優先的に駆除した方がいいであろう。

そのやり方で侵入を止められるかは

やっていないとわからない。

 

 

西尾根上に生えるジュズサンゴ

 

西尾根外周部に広がる

 

西尾根内側

ジュズサンゴがクサトベラの場所を侵略

クサトベラは生える位置が下方に

 

 

 

 

 

2.ヤエヤマアオキが増加傾向

 

ヤエヤマアオキは広域分布種で自生種。

クサトベラより大きく育つ。

ヤエヤマアオキ周辺のクサトベラは、

いずれ衰退傾向となるであろう。

 

果実が利用されるヤエヤマアオキ(ノニ)

 

ヤエヤマアオキ、クサトベラとも、

広域分布の自生種。

それゆえ、

競合していくのも自然の変化と見るべき。

現状は手を加える必要はないだろう。

 

 

陰陽池奥の斜面

色の濃い植物群がヤエヤマアオキ

 

 

3.タコノキの成長・増加

 

鞍部に生えているタコノキは

樹高がかなりのびた。

 

樹下では十分な日陰が確保できる程度に。

 

十分日陰を確保できるので、

上陸時の休憩場所としての活用も考えられる。

また、

固有陸産貝類を現地に戻す場所としても期待される。

 

鞍部のタコノキ群落

 

樹下で人が十分休憩できるサイズに

 

 

 

4.シロツブ勢力拡大

 

作業関係者から聞いた話では、

シロツブも勢力拡大しているそうだ。

 

鳥の繁殖や通行の妨げになるので、

適宜除去が必要であろう。

 

シロツブがクサトベラ内に侵入拡大の様子

 

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    この記事を書いた人

    吉井 信秋

    大阪市旭区生まれ。 茨城県立水戸一高で硬式野球部所属。 北海道大学農学部林産学科(現・森林科学科)卒業。 某企業に就職、栃木県鹿沼市の研究所に配属される。 数年後、異動により東京勤務。さらに数年後、依願退職。 その後、小笠原・父島に移住。 島でいくつかの仕事を経験後、2000年独立開業。 小笠原で山歩き、森歩き、戦跡などの陸域専門ガイドを勤める。

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