「近代日本と小笠原諸島」(石原俊)
目次
概要
2007年発行、
「近代日本と小笠原諸島」(石原俊)。
近代日本と小笠原諸島 – 平凡社 (heibonsha.co.jp)
本書は著者の博士論文をベースに、
大幅加筆・修正を経たもの。
本文は10章に渡り、400ページを超える。
サブタイトルは
「移動民の島々と帝国」。
本文では、
小笠原諸島を移動民の島々と位置づける。
最初に住み着いた外国からの移住者に照準を絞り、
彼らが、世界市場・国家・法との関係の中で、
どのように生き延びてきたかを考察していく。
小笠原では返還後、住民の区分を、
「在来島民」「旧島民」「新島民」とした。
彼ら外国からの移住者子孫は「在来島民」となる。
今までの歴史では現れてこなかった影の部分にも、
ページを割かれている。
著者が聞き取りし、本文に出てくる人は、
ほとんどの方が故人となってしまった。
二度と貴重な話を聞くことはできない。合掌。
目次
はじめに―移動民の島々から
第1章 移動民の占領経験
―「カナカ系の人、ケテさん」のライフヒストリーから
第2章 移動民の島々と帝国
―本書の理論的視座
第3章 移動民の島々の生成と発展
―小笠原諸島をめぐる実践・法・暴力(一八二六‐一八六〇年代)
第4章 水兵たちと島人たち、あるいは法と暴力の系譜学
―沖縄島におけるペリー艦隊の衝撃を焦点に(一八五三‐一八五四)
第5章 移動民と文明国のはざまから
―ジョン万次郎と船乗りの島々(一八四一‐一八六四)
第6章 海賊から帝国へ―占領への道程(一八六九‐一八八六)
第7章 主権的な法と越境する生―「帰化人」をめぐる自律的な交通(一八七七‐一九二〇年代)
第8章 自由の帝国の臨界
―小笠原諸島と「南洋」の系譜学(一八五三‐一九一〇)
第9章 生き延びるためのたたかい
―「帰化人」をめぐる動員とテロル(一八七七‐一九四五)
第10章 終わらない占領経験
―小笠原諸島の〈戦後〉をめぐって(一九四五‐)
おわりに―擬似大陸意識を超えて
参考:小笠原の歴史
参考:石原氏の著書
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