小笠原マルベリー

夜明・湾岸道路一周での自生植物(50)オオバシマムラサキ


 

はじめに

 

夜明・湾岸道路一周で見られる自生植物は90種類ほどあります。

一種類ずつ順に紹介していきます。

 

(46)オオバシマムラサキ(シソ科・固有種)

 

5-7月頃が花期となる雌雄異株のオオバシマムラサキ。

低木のものが多いですが、

小高木ぐらいに背丈がのびる個体もあります。

 

本種は祖先種が小笠原にたどりついたのち、

雌雄異株となり、3種に分化したうちの1種です。

つまりW進化の種です。

 

3種とも雌雄異株ということは、

種分化の方があとで起きたと考えます。

 

分布は小笠原群島各島です。

父島では山地の林縁、疎林地の各所で見られます。

 

このルート沿いでは、夜明道路沿いでところどころあります。

島一周 | 小笠原マルベリー (ogasawara-mulberry.net)

 

 

 

 

和名

 

オオバシマムラサキは「大葉島紫」と書きます。

 

大きな葉で、

島に生息するムラサキシキブの仲間という意味ですね。

 

 

 

 

 

 

雌雄異株・種分化について

 

雌雄異株  untitled (ogasawara-info.jp)

種分化   untitled (ogasawara-info.jp)

 

内地のムラサキシキブ属ではこういう雌雄性の分化はないようです。

この雌雄性分化は、小笠原での植物進化の事例の1つです。

 

さらにいうと、

本種も含むムラサキシキブ属は種分化も起きています。

オオバシマムラサキ、シマムラサキ、ウラジロコムラサキの3種です。

 

葉の裏が白いウラジロコムラサキ花

 

乾性低木林で自生するシマムラサキ

 

オオバシマムラサキは父島・母島に広く分布しますが、

他の2種は父島・兄島のみに分布です。

 

父・兄に特徴的な乾性低木林内にシマムラサキが、

さらに岩石地などにウラジロコムラサキが分布します。

 

小笠原のムラサキシキブ属はダブル進化です。

 

 

 

 

 

 

5-7月が花期です。

集散花序の先に小花がまとまってつきます。

シマムラサキやウラジロコムラサキに比べ、

花序につく花が多いので、全体の塊が大きく見えます。

 

雌雄異株で、

雄株には2タイプの雄花、雌株には雌花がつきます。

 

 

 

雄株

 

雄株は

めしべがあって短花柱タイプとめしべが退化してないタイプとがあります。

基本の花のつくりは淡紅色4裂、おしべ4、めしべ1(退化もあり)。

 

この個体は短花柱タイプ。

おしべ4より短いめしべ1があります。

 

 

めしべの退化したタイプ

 

同 接近

 

オオバシマムラサキ雄花(雄株の花)

 

 

 

 

雌株

 

雌花

 

雌花接近

 

基本の花のつくりは淡紅色4裂、おしべ4、めしべ1。

雌花はめしべ1が長くのびています。

めしべの白くて長い花柱(先端は柱頭)が、おしべよりも長くなっています。

おしべ4もありますが、雄花の花粉は発芽力がないようです。

 

 

 

 

果実

 

果期は秋(10-11月頃)。

 

雌雄異株なので、果実があるのは雌株です。

紅紫色で直径5㎜以下くらいの小さな果実を多数つけます。

赤みがあって、まとまっているので、やや目立ちます。

 

オオバシマムラサキ(雌株)の果実

 

 

 

 

 

葉は対生、

形は広卵形-長楕円形で、先は尖ります。

縁には細鋸歯があります。

全体に毛が生えています。

 

 

葉の裏面  毛があるのがわかりやすいです。

 

 

 

 

樹形

 

樹高2-3mのものが多いですが、中には5-6mを越すものもあります。

 

 

 

 

 

見るには?

 

山地の方で各所に生えているため各種ツアーで紹介できます。

 

全ツアーメニュー

 

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    この記事を書いた人

    吉井 信秋

    大阪市旭区生まれ。 茨城県立水戸一高で硬式野球部所属。 北海道大学農学部林産学科(現・森林科学科)卒業。 某企業に就職、栃木県鹿沼市の研究所に配属される。 数年後、異動により東京勤務。さらに数年後、依願退職。 その後、小笠原・父島に移住。 島でいくつかの仕事を経験後、2000年独立開業。 小笠原で山歩き、森歩き、戦跡などの陸域専門ガイドを勤める。

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