小笠原マルベリー

夜明・湾岸道路での自生植物(52)ヘゴ


 

夜明・湾岸道路での自生植物(52)ヘゴ

 

夜明・湾岸道路一周で見られる自生植物は90種類ほどあります。

奥村・旭橋から時計回りで、主には見られた順に紹介していきます。

 

 

(52)ヘゴ(シダ・ヘゴ科・広域分布種)

 

ヘゴは木生(木性)シダです。

 

木生シダは小笠原には4種あり、父島では3種が自生しています。

3種はヘゴ(広域分布種)、マルハチ(固有種)、メヘゴ(固有種)です。

いずれもこの道路沿いで見られます。

火山列島ではムニンエダウチヘゴ(固有種)があります。

 

夜明・湾岸道路での自生植物(19)マルハチ

 

夜明・湾岸道路での自生植物(37)メヘゴ

 

父島で見られる3種のうち、

メヘゴは低木性、ヘゴ、マルハチが高木性です。

メヘゴは群生して生えます。

 

ヘゴとマルハチは単独で生え、

2種が並んで生えているところもあります。

父島では

ヘゴよりマルハチの方が個体数はかなり多いと感じています。

 

 

 

木生シダは湿性環境を好むので、普通は高木林内に生育しています。

ヘゴは樹高が10m近いものもあります。

 

 

この夜明・湾岸道路ルート沿いでは、

中央山付近から長谷にかけて数本見られます。

島一周 | 小笠原マルベリー (ogasawara-mulberry.net)

 

 

 

 

 

和名

 

ヘゴは「桫欏あるいは杪欏」と書くようです。

 

ヘゴの語源は不明ですが、

奄美群島や南西諸島によく見られるので、

その地方の方言であろうかと想像します。

 

 

 

 

 

説明板

 

 

 

樹形

 

樹高4-5mほど。

マルハチに比べ、幹が細め

 

樹高4-5mほど。

幹は通直というほどではなく、多少湾曲などしながらも

高くのびていきます。

 

 

 

 

 

 

葉柄は放射状に広がっていきます。

マルハチに比べて、葉柄も細め。

 

葉柄がのびだして、先端部に葉になる部分が丸まっています。

その後さらに吹き流しのようにこの部分がのびて、葉が出てきます。

 

 

 

 

 

幹・葉柄

 

 

新しい葉柄は緑色ですが、のち茶色になります。

 

葉柄は茶色で、とげがあります。

 

 

そばで見ると、鋭いトゲで、触ると痛いので要注意。

 

 

 

 

幹は濃褐色で、表面には葉柄の付け根が残ります。

まれに、この葉柄がほとんど取れている個体もあります。

 

 

 

 

胞子嚢群(ソーラス)

 

 

ソーラス(胞子嚢群)は小羽片裂片に円形で2裂に並んでつきます。

 

 

 

 

マルハチとヘゴの比較

 

小笠原ではマルハチとヘゴが高木性の木生シダです。

混生する場所もあります

 

見分けポイントはいくつかあります。

幹:マルハチには丸八模様、ヘゴは葉柄の基部が残る

  マルハチの幹の方が太め

 

葉柄:マルハチの方がやや太い、

   マルハチには柔毛がつく、ヘゴにはとげがある。

   マルハチは緑色~薄茶、ヘゴは褐色

 

以上2点がわかりやすいと思います。

 

 

 

 

ツアーでは

 

高木林内に生えているので、おおむねほとんどのツアーで紹介できます。

 

 

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    この記事を書いた人

    吉井 信秋

    大阪市旭区生まれ。 茨城県立水戸一高で硬式野球部所属。 北海道大学農学部林産学科(現・森林科学科)卒業。 某企業に就職、栃木県鹿沼市の研究所に配属される。 数年後、異動により東京勤務。さらに数年後、依願退職。 その後、小笠原・父島に移住。 島でいくつかの仕事を経験後、2000年独立開業。 小笠原で山歩き、森歩き、戦跡などの陸域専門ガイドを勤める。

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