小笠原マルベリー

<提案>小笠原での自然保護地域における植栽の樹種選定について


 

概要

 

近年、

小笠原では自然保護地域での樹木の植栽が行われたり、

その必要性が出てきています。

 

植栽は成木に育つのに

次世代あるいはその先まで待たなければいけません。

つまりほとんど場合、

かかわった人たちが責任を取ることはできないのです。

ですから、より慎重にやることが大事です。

 

過去の植栽事例を見ると、

違和感を感じるような植栽もあります。

 

同じ樹種ばかりだったり、

その付近の植物相とは違っていたり、

その付近にないものを植えていたりです。

 

すでに遺伝的な配慮が必要なことはよく知られていて

いくつかの樹種についてはガイドラインもできています。

 

3rd-chuukiseika25.pdf (affrc.go.jp)

小笠原諸島における植栽木の種苗移動に関する遺伝的ガイドライン2 

 

国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所/

 

ですので、

ここでは樹種選定での提案をしたいと思います。

 

また違和感のある事例をあげて、

参考にしてもらいたいと思います。

 

ただし、

これはあくまで僕の個人的な考えです。

島内で、皆の同意を得たものではありません。

 

将来的には

樹種選定のガイドラインができ、

樹種選定を審議する委員会もできるといいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

<樹種選定提案>

 

自然分布を変えない・広げない

 

小笠原の樹種はおおむね自生地の分布がわかっています。

もともと植栽地にないものを植えて、

分布を変えたり、広げることは避けます。

(例外:希少種の植栽)

 

 

 

 

 

植栽地周辺にある樹種を

 

周りの樹林に生えているものを選定すべきです。

ないものを植えると、

自然分布を変える恐れがあります。

あるいは育ちにくいことも考えられます。

 

 

 

 

林のタイプに合わせる

 

小笠原、特に父島では、

大きく見ると、海岸林、低木林、高木林と分けられます。

それぞれの林のタイプも

さらに細かく分けるうことも可能です。

林のタイプにあう樹種を植えましょう。

 

 

 

 

 

単一樹種は避ける

 

小笠原の自然林には単一樹種の純林はありません。

植栽の場合も、

できるだけその周辺に生えているものを複数種植栽すること。

(例外:希少種など小面積の植栽)

 

 

 

 

雌雄に配慮

 

なかには雌雄異株の樹種があります。

その場合、

雌雄がそろわないと、果実ができません。

次世代への配慮ということで、

可能であれば、雌雄を混ぜて植えましょう

(実際には花をつけないと雌雄はわかりませんが。)

 

 

 

 

 

 

違和感のある例

 

属島 テリハボク

 

西島の南西部尾根筋  テリハボクが目立つ

 

西島の南西部尾根筋  テリハボクが目立つ

 

もとは複数種植えたかと思いますが、

結果的にテリハボクばかりになっています

そもそも、山の上の尾根上なので、

テリハボク選定が正解とは言えないかもしれません。

植えるなら、もっと下の方であろうかと‥

この辺りは低木性の樹種が合うのでは。

 

戦前、防風林として、テリハボクが植えられた経緯もあり、

山中に並んで生えているところがあるのも事実です。

ですのでこれは自然分布ではありません。

 

夜明・湾岸道路での自生植物(16)テリハボク

 

 

 

 

 

海岸 モモタマナ

 

 

海岸の植栽 モモタマナと一部テリハボク

 

オオコウモリの餌場づくりということがあるようです。

海岸林はモモタマナばかりではありません。

テリハボクやハスノハギリもあるので、

モモタマナばかり植えるのはアンバランス。

 

また海に面した前面は

クサトベラやオオハマボウが生えます。

その後ろに、モモタマナなどが生えます。

そういう配置もアンバランス。

 

この写真に写る奥の低木も

モモタマナが大きくなると日陰で弱ってしまいます。

 

夜明・湾岸道路での自生植物(27)モモタマナ

 

 

 

 

 

園地 モモタマナ

 

大神山 モモタマナ

大神山 モモタマナ

 

日陰を作るという趣旨らしいです。

ここは岩場の山の上、周りは低木林で、

モモタマナはそぐわないと思います。

展望地の休憩場所でもあるので、

日陰を作るぐらい成長したら展望阻害になります。

 

ここは保護地域ではないですが・・

 

ベンチも置いているぐらいですから、

日陰がいるなら、屋根付き休憩舎設置でいいと思います。

 

 

 

 

 

園地 ビヨウタコノキ

 

大神山公園  ビヨウタコノキ

 

ビヨウタコノキ

 

オオコウモリの餌場を期待してとのですが、

ビヨウタコノキは外来種。

このエリアは保護地域ではないですが、

外来種を取り除こうとしている場所です。

ねぜここに外来種を植えたのか理解できません。

 

固有種のタコノキの果実にもオオコウモリはやってきます。

 

アカタコといわれるビヨウタコノキは外来種

 

 

 

 

都道法面 イチゴ2種・モモタマナ

 

都道法面の植栽 モモタマナが目立つ

 

地上部にシマミツバキイチゴ

 

地上部にチチジマイチゴ

 

都道法面植栽で、 

チチジマイチゴ・ハチジョウクサイチゴが混栽。

 

近い仲間を植えると、交雑する恐れがあります。

(実際にこの2種で交雑するかどうかはわかりません)

 

そもそも

この地にはチチジマイチゴは自生していません。

またハチジョウクサイチゴは外来種扱いです。

ということで

イチゴの2種は撤去した方がいいかと思います。

 

またモモタマナが優先して成長していて、

このエリアではやや違和感があります。

このあたりは海に近いとはいえ、

山に囲まれた谷間のエリア。

山地の高木性の樹木が成長するといいのですが。

 

夜明・湾岸道路での自生植物(31)チチジマイチゴ

 

空き地や道端に雑草のように生えるハチジョウクサイチゴ

 

 

 

 

 

<番外>村有地 オガサワラグワ

 

オガグワの森入口

 

オガグワの森 オガサワラグワ植栽

 

ここは森のネーミングからして、

オガサワラグワばかりの植栽地。

将来的に他の樹種を入れ込むのかは不明?

 

このまま純林にする計画でしょうか?

ここは村の管理なので純林はやむなしか?

申し訳ないけど、純林の例として載せました。

 

懸念は

のちに生育が順調にいって、実生が出たとしても、

ほとんど雑種になることが想定されます。

 

大量のシマグワ対策をするのか?

今後も、

オガサワラグワは培養したものを植え続けるのか?

 

 

オガサワラグワ、雑種の見分け方

 

以上、いくつか挙げてみました。

 

 

 

 

 

 

<植栽までの手順提案>

 

1.各団体が自然保護地域で植栽を検討

 

 植栽を検討する方は

 20-30年後の生育状況を確認できる可能性の高い

 60歳以下の人がやるべき

 

2.上記のような基準に基づいた樹種選定

 

3.審査委員会で審査

 

 委員は小笠原の植物に詳しい有識者

 できれば、

 長期に渡って経過観察できる60歳以下の人

 

4.各団体で植栽

 

5.数年ごとに経過観察

 

 問題があれば、適宜、対応する

 

 

 

 

 

 

 

まとめ

 

ご意見・反論もあろうかとは思いますが、

これをネタに今後どこか公的な会議で

話題にしていただければと考えています。

 

 

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    この記事を書いた人

    吉井 信秋

    大阪市旭区生まれ。 茨城県立水戸一高で硬式野球部所属。 北海道大学農学部林産学科(現・森林科学科)卒業。 某企業に就職、栃木県鹿沼市の研究所に配属される。 数年後、異動により東京勤務。さらに数年後、依願退職。 その後、小笠原・父島に移住。 島でいくつかの仕事を経験後、2000年独立開業。 小笠原で山歩き、森歩き、戦跡などの陸域専門ガイドを勤める。

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