小笠原マルベリー

「四十五口径十一年式十二糎砲一番砲員・二番砲員」名簿


 

概要

 

海軍大神山平射砲台には

四十五口径十一年式十二糎砲が2門配備されていました。

*四十五口径・・砲身径の45倍が砲身長に

*十一年式・・制式が大正11年式

*十二糎・・砲身の口径・12cm(実寸は少し違う場合もあります)

 

海軍大神山平射砲台

 

一番、二番それぞれの砲座には

壁に砲員名簿が書かれています。

 

1つの砲につき10人が記載され、

射(射撃)、旋(方向)、尺(距離)、一~六、伝(伝令)です。

一~六は弾薬運搬や交代要員かと。

 

資料によると、

この砲の砲員は9名ということです。

伝(伝令)が砲員には入らないということでしょうか?

 

すでに、

この名簿が書かれてから、80年近くになります。

 

まだ文字ははっきりとしています。

よく見ると、

当時、途中で書き直した痕跡もあります。

 

壁に書かれているので、

壁が一部剥がれだしているところが出てきました。

 

今のうちにきちんと記録しておかないと

あとでわかるなくなる可能性ができました。

 

そこで、ここに記録しておきます。

 

こういう名簿は非常に貴重なので、

史跡指定して、保存措置が取られることを願います。

 

 

 

 

 

高角砲との違い

 

少しタイプは違いますが、

同じ口径の十二糎高角砲が父島には残っています。

 

露天で残る十二糎高角砲2門(小曲・珈琲山)

 

高角砲の仰角は最大75度です。

 

四十五口径十一年式十二糎砲は

仰角が最大55度です。

 

高角砲と違い、

対空が目的ではなかったようです。

本来は、

艦艇からの陸上射撃が目的だったようです。

 

 

 

 

 

一番砲

 

一番砲座の壁

 

一番砲員名簿

 

 

四十五口径十一年式十二糎砲一番砲員

二曹 勝俣  平夫

上曹

二宮  平雄

上水

岩崎  助蔵

水長

池田  勇

上水

(剥離のため推定)

細川  仁太郎

上水

 

渡辺  薫

上水

長谷川 徳太郎
上水

池下  良作

上水

横手  悦徳

上水

中村  馨

 

 

 

二番砲

 

 

二番砲座の壁

 

二番砲員名簿

 

四十五口径十一年式十二糎砲二番砲員

上曹 清野  善典

二曹

武井  喜平

水長

島田  義一

水長

羽島  友生

上水

志賀  基

上水

中沢  梅治

上水

真鍋  忠一
上水

松川  一郎

上水

宮本  吉太郎

上水

井口  松次

 

 

 

 

見るには?

 

大神山の歩道沿いの入口は

閉鎖されています。

銃眼から入れますが、

そこに至る道が足場の悪い斜面です。

 

ツアーではほとんどガイドしていません。

健脚の方であれば、

リクエストにより、訪れることは可能です。

 

 

小笠原・父島の戦跡

 

 

 

 

 

 

保存措置のお願い

 

地主の東京都小笠原支庁および、

小笠原村教育委員会へのお願いです。

 

この壁の砲員名簿はとても貴重なものです。

 

このまま放置しておくと、

壁が剥がれたり、文字がかすれたりします。

ぜひ保存措置をお願いしたいものです。

 

 

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    この記事を書いた人

    吉井 信秋

    大阪市旭区生まれ。 茨城県立水戸一高で硬式野球部所属。 北海道大学農学部林産学科(現・森林科学科)卒業。 某企業に就職、栃木県鹿沼市の研究所に配属される。 数年後、異動により東京勤務。さらに数年後、依願退職。 その後、小笠原・父島に移住。 島でいくつかの仕事を経験後、2000年独立開業。 小笠原で山歩き、森歩き、戦跡などの陸域専門ガイドを勤める。

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