夜明・湾岸道路での自生植物(84)トキワイヌビワ
目次
はじめに
夜明・湾岸道路一周で見られる自生植物は
90種類ほどある。
1種類ずつ、
特徴や見られる場所を紹介していく。
島一周 | 小笠原マルベリー (ogasawara-mulberry.net)
(84)トキワイヌビワ(クワ科・固有種)
雌雄異株、常緑低木性、
トキワイヌビワ(クワ科・固有種)。
常緑小高木で、分枝が多く、
株立ち状のものもある。
本種はイチジク属で、
花弁のある花らしいものはつけず、無花果である。
雌雄異株なので、
果実(花嚢・果嚢)があるのは雌株となる。
(果嚢・・熟れた状態)
花期は6‐7月ごろ。
卵状球形の緑の花嚢をつける。
のちに熟れて果嚢となる。
葉は一般的には、
オオトキワイヌビワより小さいとされる。
しかし、サイズだけでは見分けは難しい。
本種の分布は
父島列島、母島列島、火山列島など。
分布は広い。
父島では林内で時々見かける。
このルート沿いでは
夜明道路沿い(旭平付近)などでわずかに見られる。
種分化の項で紹介するが、
近縁種にはオオトキワイヌビワ、オオヤマイチジクがある。
本種とオオトキワイヌビワは
父島に自生し、とてもよく似ている。
樹形、托葉、果実の形で見分けができる。
(後述する)
葉のサイズはかなり幅があるので、
一概には何とも言えない
分布は同所的に生える場所もあるが、
オオトキワイヌビワがより林内型である。
オオヤマイチジクは母島のみ自生。
種分化
種分化の事例として、
本種も含めた3種が紹介されている。
トキワイヌビワ、オオトキワイヌビワ、オオヤマイチジク。
父島では
トキワイヌビワとオオトキワイヌビワが見られる。
オオヤマイチジクは母島に分布、父島にはない。
近年の調査研究報告によると、
さらにもう1種の存在も示唆されている。
報告書ではオオトキワと仮称。
*参考資料
3-1.昆虫と植物との共生関係、共進化および種分化に関する研究 |
3-1.イチジク属植物とイチジクコバチの共生関係と共進化 |
和名
トキワイヌビワは
「常盤犬枇杷」と書く。
トキワイヌビワは
常緑のイヌビワの意味。
イヌビワは
ビワに似た果実が食用になる。
しかし、
味がビワより劣るためイヌがつく。
植物名ではイヌがつくのはよくある。
(本家より劣るという意味合い)
小笠原では、
ムニンイヌツゲ、ムニンイヌグスなど。
生えている様子
旭平付近で見られる個体
幹はやや内側にあり、枝が道沿いに張り出す。
樹高4-5ⅿ
分枝が多いので、
オオトキワイヌビワよりも葉の数が多い
葉は互生
托葉が目立つ
果実(花嚢・果嚢)があるので、この個体は雌株
緑色の花嚢の状態
果実(花嚢・果嚢)は丸っこい
2種の見分け
オオトキワイヌビワとトキワイヌビワはよく似ている。
見分け方のポイントを紹介する
オオトキワイヌビワ | トキワイヌビワ | |
樹形 | 分枝が少ないあるいは単枝 | 株立ち状 |
樹高 | せいぜい2-3m | 2-3m以上もある |
托葉 | ほぼ分からない | ある、目立つ |
果実 |
壷型楕円形・ トキワよりやや大きい |
球形・ オオトキワより小ぶり |
見るには?
父島の山地で見られる。
低木性で目立たない樹種である。
目立たない樹種なので、
ツアーで紹介することはかなり少ない。
興味のある方はリクエストいただきたい。
森歩きで紹介はできる。
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