小笠原マルベリー

「硫黄島上陸 友軍ハ地下ニ在リ」(酒井聡平)


 

 

概要

 

2023年7月発行、

「硫黄島上陸 友軍ハ地下ニ在リ」(酒井聡平)。

『硫黄島上陸 友軍ハ地下ニ在リ』(酒井 聡平)|

講談社BOOK倶楽部

 

著者にとっては初の著書となる。

著者は北海道新聞社の記者。

酒井 聡平 SOHEI SAKAI | 現代ビジネス (gendai.media)

酒井 聡平 プロフィール | 文春オンライン (bunshun.jp)

 

著者は、

遺族などが硫黄島には関係していない。

しかし、ご祖父様が、

戦時中、海軍兵士として、父島や母島に着任していた。

そういう縁があって、

硫黄島のことにひかれていったのがきっかけだった。

 

その後、

硫黄島遺骨収集(収容)団にも複数回参加されている。

まさに行動の人だ。

 

タイトル「硫黄島上陸」は

まさにその遺骨収集での上陸である。

 

「友軍ハ地下ニ在リ」というのは、

硫黄島から発信された通信の文言である。

 

国の責務である(はず)の

硫黄島の遺骨収集を主題とするかなり重いテーマ。

 

決して楽しい読み物ではない。

読んでいてくる苦しくなる方もあろうかと思う。

 

 

 

 

 

 

 

目次

プロローグ 「硫黄島 連絡絶ゆ」

第1章 ルポ初上陸――取材撮影不可の遺骨捜索を見た

第2章 父島兵士の孫が硫黄島に渡るまで

第3章 滑走路下遺骨残存説――地下16メートルの真実

第4章 情報公開で暴いた硫黄島戦後史

第5章 硫黄島「核密約」と消えた兵士たち

第6章 戦没者遺児との別れ、そして再上陸へ

第7章 硫黄島の元陸軍伍長「令和の証言」

第8章 硫黄島ノ皆サン サヨウナラ

エピローグ 「陛下、お尋ね申し上げます」

 

 

 

内容

 

 

硫黄島の遺骨収集がメインである。

本人の体験と、

遺骨収集(収容)に参加される方の体験・話しに

多くが割かれている。

 

しかし、

硫黄島に置かれる戦後の状況がよく記されているので、

とても学ぶべきことも多い。

 

僕の読後は

付箋代わりの折り目だらけとなっている。

 

参考までにいくつかのポイントを紹介。

 

・核貯蔵密約については既刊もあるが、

 意外と知られていない。

 

「核密約から沖縄問題へ  小笠原返還の政治史」 ( 真崎翔)

 

・米軍は頭蓋骨を持ちかえっているという事実。

 父島にも、

 首無し尊徳像があって、さもありなんと思った。

 

父島に残る2つの二宮尊徳像

 

 

・日米地位協定で米軍の使用区域があるということも、

 意外と知られていない。

 それがあるゆえ、

 いまだに自由に硫黄島を利用できる。

 

 

・遺骨の風化については、

 酸性土壌、返還まで手付かずであったことなどがあるよう。

 

その他、学ぶべきこと多数。

 

 

 

 

 

 

僕の経験

 

僕は30年以上父島に住んでいるから、

遺骨収集に参加する手立ては何度もあった。

しかし、やはり手を出せなかった。

硫黄島の暑い環境や遺骨を掘り出すということが

ハードルが高すぎたから。

 

僕はそれ以外の機会をとらえて、

2度訪れている。

一度目は村の訪島事業で、二度目はとある村の業務で。

 

硫黄島・南鳥島

 

硫黄島も含めた小笠原の戦争のことは

発信し続けている。

父島での戦跡ツアーでは、あからさまには言わないが、

硫黄島のことも考えていただきたいと思っている。

 

小笠原・父島の戦跡

 

戦跡ツアー

 

 

 

 

 

参考

 

本書の中でも名前の出てくる記者、

栗原俊雄氏による硫黄島の著者。

 

「硫黄島に眠る戦没者」(栗原俊雄)

 

 

「玉砕の硫黄島に生きた 混成第二旅団野戦病院」(野口巌)

 

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    この記事を書いた人

    吉井 信秋

    大阪市旭区生まれ。 茨城県立水戸一高で硬式野球部所属。 北海道大学農学部林産学科(現・森林科学科)卒業。 某企業に就職、栃木県鹿沼市の研究所に配属される。 数年後、異動により東京勤務。さらに数年後、依願退職。 その後、小笠原・父島に移住。 島でいくつかの仕事を経験後、2000年独立開業。 小笠原で山歩き、森歩き、戦跡などの陸域専門ガイドを勤める。

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