小笠原マルベリー

夜明・湾岸道路での自生植物(22)ノヤシ


 

夜明・湾岸道路での自生植物(22)ノヤシ

 

夜明・湾岸道路一周で見られる自生植物は90種類ほどあります。

奥村・旭橋から時計回りで、主には見られた順に紹介していきます。

 

 

(22)ノヤシ(ヤシ科・固有種)

 

ノヤシは小笠原固有種です。

小笠原の各島で見られますが。個体数は少なめです。

父島では中央部山地で点在して見られます。

 

ヤシ科植物でまっすぐのび、

幹は細めですが、10M以上までのびます。

 

小笠原の自生ヤシ科植物は

オガサワラビロウとノヤシの2種で,どちらも固有種です。

 

この2種は

幹や葉などに大きな違いがあり、見分けは容易です。

 

ちなみに日本の自生ヤシ科植物のうち、

日本固有は3種(オガサワラビロウ、ノヤシ、ヤエヤマヤシ)あります。

3種のうち、上記のように、2種が小笠原固有ということです。

 

このルート沿いでは中央山付近で見られます。

 

 

和名

 

ノヤシは野椰子と書きます。野の椰子です。

小笠原や島を示す、シマ、オガサワラ、ムニンなどがつきません。

どうしてこのようなシンプルな和名にしたのでしょうね。

 

別名ではキャベツヤシ、セボレーヤシとも言われます。

 

兄島にはキャベツビーチという浜がありますが、

古い海図の表記では蒲葵浜(ビロウ浜)となっています。

 

オガサワラビロウからこのノヤシに変わったものなのでしょうか?

それとも英名はノヤシを表現しているわけではないのでしょうか?

 

キャベツヤシは特定のヤシではなくて、

食用になるようなヤシを表わすという解説もあります。

 

 

 

 

成長過程

 

初期の頃 単子葉なので1枚ですが、V字になります。

 

まだ幹がほとんどない頃

 

幹が伸び出しているころ 

横線がある部分が幹、その上は葉鞘が特徴的

 

十分成長した状態

 

 

 

 

幹の特徴

 

幹の色と葉の付き方が特徴的です。

 

幹の色は薄緑色で横縞が入ります。

1つの縞は1枚の葉に相当する数と考えます。  

 

葉柄は1Mほどの葉鞘と一体です 落葉時も同じです

 

幹は下から順に、

横縞がある部分が幹、花序(花や果実がつく部分)、葉(葉鞘と葉柄)です。

*葉鞘・・ようしょう

 

 

 

 

花期は6-7月頃で、花序の先は箒状となり小さな両性花をたくさんつけます。

 

花序

 

 

本種は雌雄同株で、花は雄花・雌花に分かれます。

資料によると、

3つの花が1つの花群となり、中央が雌花、両側が雄花です。

花は淡黄色で、花弁・萼片それぞれ3、おしべ6、めしべ1です。

写真中央部の花は、3裂の柱頭が見えるので、雌花と思われます。

(雄花はめしべが退化しているものと思われます)

 

 

果実

 

 

 

果期は11-12月頃。

径1CMほどの卵状の核果です。

果実ははじめ緑ですが、のち、赤く熟れます。

 

 

 

 

 

利用面

 

材はタケの代用、花序を箒として、葉鞘を加工し花器として、

などの利用があったそうです。

また、葉の新芽は食用にもなったということです。

 

 

 

単子葉の特徴

 

ヤシ科植物は単子葉植物です。

 

単子葉植物は草本が普通ですが、

ヤシ科やタコノキ科のような、幹が木質化し、木本化したものもあります。

特徴としては

新葉(子葉)が1枚、葉が平行脈、維管束が分散、根がひげ根などです。

 

実際に見てみましょう。

 

 

単子葉なので子葉は1枚だけです  

 

葉は平行脈です

 

根はひげ根の集まりです(写真はオガサワラビロウ)

 

幹の断面 維管束が分散し、初期の頃以外は、肥大成長しません

(写真はオガサワラビロウ)

 

 

 

ツアーでは

 

個体数は少なめで、自生地も限られています。

夜明山から中央山にかけてのエリアで見られますので、

森歩きで紹介できます。

 

森歩き

 

場所によっては

ノヤシとオガサワラビロウが近くに生えている所もあります。

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    この記事を書いた人

    吉井 信秋

    大阪市旭区生まれ。 茨城県立水戸一高で硬式野球部所属。 北海道大学農学部林産学科(現・森林科学科)卒業。 某企業に就職、栃木県鹿沼市の研究所に配属される。 数年後、異動により東京勤務。さらに数年後、依願退職。 その後、小笠原・父島に移住。 島でいくつかの仕事を経験後、2000年独立開業。 小笠原で山歩き、森歩き、戦跡などの陸域専門ガイドを勤める。

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