かなり個体数の少ないチチジマクロキ
目次
概要
小笠原固有種のチチジマクロキ(ハイノキ科・固有種)です。
クロキという通り、幹や枝はかなり黒っぽいです。
葉柄は黒というよりは紫に近い色です。
父島と兄島に分布しますが、個体数は少ないです。
低木性樹木で、父島では乾性低木林内で見られます。
ツアーで歩くルート沿いにも数本は生えています。
5年ほど前までは、毎年花を見ていたのですが、
それから以降、すっかり花をつけなくなっています。
理由は分かりません。
とは言いつつも、
花を期待して、花期が近づくと様子は見ています。
2020年12月下旬時点、
幸い、このシーズンはつぼみが少しありました。
いずれ花が見られそうです。
自生種の和名でチチジマがつく種はかなり少ないです。
チチジマクロキとチチジマイチゴぐらいのものです。
和名
チチジマクロキは「父島黒木」と書きます。
父島に分布する(兄島にもありますが)、
クロキですね。
クロキ(黒木)は樹皮の色からのようです。
花
花期は12月頃です。
花は近縁種のウチダシクロキともよく似ています。
花の付き方が
ウチダシクロキほどは密集してはつきません。
花は乳白色、5深裂(5弁ではありません)。
おしべは多数、5束生(五体雄蕊)。めしべは1(柱頭は3裂)。
果実
ここ数年は花さえ見ていないので、
その後の果実も見ていません。
果実は黒く熟し、茄子のような色合いで、
長さ2㎝ほどの長楕円形です。
果肉をはずして、種を出すと、
中の種は茶色で先がとがっています。
菓子の柿の種を色を濃くした感じです。
葉
これは新葉です。
はじめはこんな渋い色から、徐々に緑になっていきます。
葉柄は紫黒色です。
ハイノキ科種分化
小笠原ではハイノキ科自生種は3種で、
チチジマクロキ、ウチダシクロキ、ムニンクロキです。
チチジマとウチダシは主に父島での分布。
ムニンは母島列島向島に分布します。
これら3種は
内地のクロキとの共通祖先種がたどり着いたのち、
固有種に進化し、分化していったもののようです。
科名のハイノキとは、
「焼くといい灰ができる」ところからのようです。
ツアーでは
森歩きのツアーで歩くルート沿いで数本見られます。
つぼみもそこで確認しました。
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