夜明・湾岸道路での自生植物(15)シャリンバイ
目次
はじめに
夜明・湾岸道路一周で見られる自生植物は
90種類ほどあります。
順に1種類ずつ紹介していきます。
(15)シャリンバイ(バラ科・広域分布種)
シャリンバイは、シマイスノキともに、
乾性低木林の代表的な樹木の1つ。
低木林内では
シマイスノキと混生しているところもあります。
しかし、
どちらかが優先して生える傾向があります。
シャリンバイは
より土壌が浅いところや傾斜の強いところに優先します。
本種は、小笠原全域に分布します。
父島でも
低木林内で普通に見られ、個体数は多いです。
このルート沿いでは、
夜明道路(奥村-中央山)によく生えています。
海側の湾岸通り沿いにも生えています。
和名・島名
シャリンバイは「車輪梅」と書きます。
枝先の葉が輪生状につき、そこを車輪に見立て、
花がウメのようなので、車輪梅です。
小笠原では
アレキサンドルやサンドルという島名があります。
語源は「AX HANDLE(斧の柄)」で
アックスハンドルが
アレキサンドルやサンドルに転じたようです。
材がかたいところからついた名で、
実際には斧の柄として使われていたのかは分かりません。
実物も見たことはありません。
花
シャリンバイの花期は
普通春から初夏のようですが、小笠原では10月以降の涼期です。
場所によって花期にばらつきもあるので、
かなり長期間花が見られます。
花はウメの花を小さくしたような感じで
花弁は白で5弁。
おしべ多数、めしべ1(花柱・柱頭は2-3裂)。
おしべの花糸は
咲きはじめの頃は白いですが、徐々に赤くなってきます。
その部分を見れば、
花の咲いたタイミングが分かります。
葉
名前の由来の通り、葉は枝先に集中します。
ただ小笠原のシャリンバイの葉は
それほどきれいに車輪状に広がっていません。
葉は肉厚でややつやがあります。
表面はかなり網目のようになっています。
シマイスノキとの見分け
ぱっと見ると似ているので、見慣れていない人には
見分けがつかないことがあるようです。
見分けの1つが葉の付き方です。
シャリンバイ(車輪梅)は、
葉が先端部で輪生状につきます。
シマイスノキは先端まで互生で葉が出ています。
もう1つは花です。
花期が一緒ではないですが、
花の形が全然違うので、一目で分かります。
シャリンバイは白花5弁、
シマイスノキは花弁がない、赤いおしべが目立つ花。
染料としての利用
奄美大島で買った大島紬の小銭入れです。
大島紬は
染料として、シャリンバイの樹皮などの部分が利用されるそうです。
小笠原での利用は聞いたことがありません。
ツアーでは
シャリンバイは山地にあり、個体数も多いので、
ほとんどのツアーで見ることはできます。
森歩きではシマイスノキとの違いも見ていただきます。
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