「天を測る」(今野敏)
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「天を測る」(今野敏)
概要
2020年12月発行、「天を測る」(今野敏)。
『天を測る』(今野 敏)|講談社BOOK倶楽部 (kodansha.co.jp)
本書の主人公は小野友五郎(おの ともごろう)です。
タイトルは
咸臨丸の役職(測量方)から来ているのだろうと思います。
船を下りてからの他の仕事でも、分野は違えど、
正確に測る仕事ぶりも広く含んでいるかもしれません。
小野友五郎は、笠間藩士で、
咸臨丸での訪米の際の測量方兼運用方(船の位置を割り出し航路を定める役目)。
そののち、咸臨丸での小笠原探検では艦長として活躍しました。
この小説では、咸臨丸の訪米の場面から始まり、
幕府崩壊後、明治政府の鉄道の測量につくあたりまでです。
咸臨丸での航海および、
幕府に使えてからの仕事ぶりがメインで描かれています。
小野は正確な計算を武器に、
航海、造船、財務、兵站などをになっていきます。
小野は世間や人との対処を足し算の考え方でいました。
人物評
咸臨丸で通訳(通弁)として乗船していた中浜万次郎は
彼にとっても大きな力となった人。
咸臨丸の航海は万次郎と友五郎の力が大きかったのは間違いありません。
彼と仕事をともにした勝麟太郎(勝海舟)や福沢諭吉については
かなり辛口で書かれています。
(他の資料でも出てくるので、かなり事実に近いと思われます。)
さらに、坂本龍馬や尊皇攘夷の薩長にも批判的でした。
小野は公儀側(幕府側)ですからやむをえないでしょうね。
小野友五郎の生涯
小説で書かれた時期以降、
鉄道測量のほか、製塩事業にも関わっています
それらは「小野友五郎の生涯」に詳しく書かれています。
小笠原での足跡
残念ながら、小野氏の足跡を伝えるものは何も残っていません。
強いていえば、咸臨丸がらみで、咸臨丸墓地でしょうか。
ここは歴史ツアーで訪ねます。
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