小笠原マルベリー

「〈群島〉の歴史社会学」(石原俊)


 

概要

 

2013年12月発行、

「〈群島〉の歴史社会学」(石原俊)、

サブタイトルは、

「小笠原諸島・硫黄島、日本・アメリカ、そして太平洋世界」。

〈群島〉の歴史社会学 – 弘文堂 (koubundou.co.jp)

 

発行当時、著者から献本いただいた。

 

 

本書は、

世界の歴史を考えつつ、間太平洋に視点を置き、

小笠原諸島・硫黄島に焦点を当てている。

 

定住のころから、占領下の返還までの期間について、

小笠原での歴史的な区分ごとに考察されている。

第1章 世界市場と群島のエコノミー

    ・・無人島から定住初期(無国籍状態)

第2章 主権国家と群島のエコノミー

    ・・定住から日本による統治の初期

第3章 帝国の〈はけ口〉と〈捨て石〉

    ・・明治から太平洋戦争まで

第4章 冷戦の〈要石〉と〈捨て石〉

    ・・アメリカ統治時代から返還まで

 

章のタイトルが、

それぞれの主題をよくあらわしている。

 

各時代ごとに、

外国系(在来島民)と日本からの移住者(旧島民)について、

それぞれ考察している。

 

「近代日本と小笠原諸島」(石原俊)

 

第2章では、

ジョン・万次郎やベンジャミン・ピーズが、

その時代を代表する2タイプの人物として考察される。

 

小笠原に来なくてはいけない理由、その42「ジョン万次郎が複数回訪れた島だから」

 

ビーチコーマーから始まった定住、

ブラックバーダー(労働力ブローカー)も活躍した小笠原。

ブラックバーダーの代表的人物として、

ベンジャミン・ピーズが登場する。

 

硫黄島は開発以降、

プランテーション型社会であったことも考察される。

 

「硫黄島」(石原俊)

 

小笠原・硫黄島の歴史を

もっと深く知りたい方に、お勧めする。

 

なお、

石原氏の表現はややきつく感じることがある。

分かりやすいのだが、

例えば、〈はけ口〉、〈捨て石〉などの表現。

また、

為政者としての行政に対してはきつい表現である。

 

 

 

 

 

 

目次

 

序 群島の想像力

 
 
第1章 世界市場と群島のエコノミー
 
    ――海のノマドの自主管理空間
 
 
第2章 主権国家と群島のエコノミー
   
    ――捕捉される海のノマド
 
第3章 帝国の〈はけ口〉と〈捨て石〉
 
     ――入植地から戦場へ
 
 
第4章 冷戦の〈要石〉と〈捨て石〉
 
     ――占領と基地化・難民化
 
 
結 地政学を超える系譜学へ
 
 
あとがき
 
 
 
 
 
 
 
 
 

参考:小笠原の歴史

 

「硫黄島クロニクル(年代記)」(夏井坂聡子)

 

 

小笠原諸島返還50周年記念誌(2018年6月)

 

小笠原関連図書

 

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    この記事を書いた人

    吉井 信秋

    大阪市旭区生まれ。 茨城県立水戸一高で硬式野球部所属。 北海道大学農学部林産学科(現・森林科学科)卒業。 某企業に就職、栃木県鹿沼市の研究所に配属される。 数年後、異動により東京勤務。さらに数年後、依願退職。 その後、小笠原・父島に移住。 島でいくつかの仕事を経験後、2000年独立開業。 小笠原で山歩き、森歩き、戦跡などの陸域専門ガイドを勤める。

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